舞台『死にたい俺と、生きたいお前。/ 生きたい私と、死にたいあなた。』香り演出 プロジェクトK×TATANAHARU

query_builder 2026/03/02
ブログ
香り

あの舞台から、少し時間の経った今


「物語の終わりに、香りを置く」

そんな役割で今回初めて舞台の演出に香りで関わらせていただきました。

通し稽古で感じた想いとともに選んだ香りが
舞台の最後のシーンでどのように空間を印象付けたのか。

その余韻を言葉にしてみました。

物語の終わりに、香りを置くという演出

舞台

2026年2月

「project  K」の舞台にてTATANAHARU香り担当として

関わらせていただきました。


「Project K」とは 

”__挑戦をやめない。小劇場・全ての劇場をバリアフリーに__”


という想いのもと活動している演劇プロデュースチームです。



子供から大人まで、そして障害の有無に関わらず

誰もが同じ空間で舞台を楽しんでもらえること

そのためのバリアフリーの舞台創りを目指しています。



視覚障害や聴覚障害、車椅子など様々な理由で

劇場に足を運ぶのが困難な方にこそ観劇を楽しんでいただけるよう

字幕や音声ガイド、劇場環境の工夫など

様々な視点から観劇のハードルを丁寧に開いています。



全ての人に舞台の体験を届けたい。

そんなまっすぐな想いの中で今回の作品
『死にたい俺と、生きたいお前。』『生きたい私と、死にたいあなた。』

も生れています。



「物語の終わりに、香りを添えたい。」


その一言が、今回の始まりでした。


香りが主張過ぎるのでなく

物語の終わりにそっと寄り添うものとして。

その余韻が空間に拡がりながら、

観ている人の心と演者の感性に重なっていく。

そんな香りの体験を、紡いでいくような演出になりました。



通し稽古で感じたこと

円陣

通し稽古を拝見させていただきました。


物語を追うほどに、最後のシーンに引き込まれていきます。

主人公の心の揺れが、自分の内側と重なり

気付けば涙が止まらなくなっていました。


「この人の気持ちにどう香りで寄り添えるだろう」


その想いを抱えたままに香りの方向性を探っていきました。



強く印象を残すのではなく、そっと隣りに寄り添うように。

想いが静かに幾重にも重っていく。

そんな香りを思い描いていました。

ふたつの物語、ひとつの軸

小出さん

今回の舞台はW主演。2つの物語。


『死にたい俺と、生きたいお前。』
『生きたい私と、死にたいあなた。』



「どちらか一方の命は生かされる。決断は1週間後。」


同じ時間軸の中で

異なる視点から描かれるふたつの物語。


ひとつは

「人生の締め方と再起」


もうひとつは

「人生の再生と終わり方」


そんな風に感じながら

どちらも重たいテーマを扱いながらも

軽妙なキャラクターとテンポの良い展開で進んでいきます。



気付けば笑っていて

時には深く考えさせられ

最後には胸の奥が揺れ動く。



そんな素敵な作品でした。




最後のシーンに拡がるもの

ディフューザー2

香りが空間に拡がりはじめるのは、物語の最後。


空気が少し緩んだその瞬間に

ふわっと、どこからか香りが拡がってきます。


何かが変わった。とはっきり感じるものではないけれど

確かに五感で感じられるものの全てが変わっていく。


空間が幾重もの思いと重なり合っていくように。



言葉にしきれない感情や

観終わった後の静かな余白に

そっと寄り添うように。


それは、ユーカリやラベンダーを重ねた香り。



すっとすべてがほどけていくような清々しさと

やわらかく包み込むようなラベンダーの香り。



その2つの香りが

張り詰めていた空気を

ほんの少しだけ

緩めていく。



何かが大きく変わるわけではないけれど

確かに私たちの感じる全てが五感を通して変わっていく。



観終わった後の静かな余白と

言葉にならない感情に

そっと寄り添う。


その香りは物語の中に入り込むのではなく

物語りの後に静かに残っていくものでありたい。

そうずっと思い続けていました。


優しく
そっと寄り添う香りでいたい。


お客さまと演者の声

お客さまの声2

終演後、いくつかの印象的なお声を頂きました。


「テーマは重いけれどテンポの良い展開で楽しい舞台だった。

 最後は少しウルっときてしまった。

 香りが拡がって不思議な空間を演出していた。」



演者の方々からも

「良い香りで癒された」

「この香りを浴びていたい」


舞台の内側と外側、どちらにも届いていたことが

とても嬉しく印象に残っています。

香りは、余韻とともに記憶に残る

香りは、強く印象づけることもできるけれど
今回改めて感じたのは


”余韻として残る香り”の力でした。


物語が終わっあと、言葉では説明できない何かが静かに残る。


そしてその余韻は、日常の中の何気ない一瞬に

同じ香りに触れたとき、静かに記憶を呼び起こしていく。



あの空間や、あの時間

舞台で感じた感情までもが

そっと立ち上がるように。



香りは、ただその場で感じるだけでのものではなく

時間を超えて、記憶に寄り添い続けていくもの。


あの日の舞台が、誰かの中でふとよみがえり

その時の気持ちに、もう一度優しく触れられるように。


その空間に香りが静かに寄り添っている。

そんな在り方を、これからも大切にしていきたいと思います。




ご一緒できたことに、感謝を込めて

演者さんと

今回の舞台に関わらせていただいたこと

心から感謝しています。


物語りの最後に、香りを置く。

その経験はわたしにとっても大きな一歩となりました。



香りは、主張するものではなく

空間や感情にそっと重なりながら

余韻として残っていくもの。


そんな在り方を、これからも大切にしていきたいと思っています。


その余韻をこれからも空間に紡いでいき

ふとした瞬間にこの香りのことを思い出していただけたら。


また、新しい物語の中でご一緒できたら嬉しいです。







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